自転車のシェアサービスを行う、ドコモ・バイクシェアとオーシャンブルースマートの記者発表が行われる
2018年06月24日
・シェア自転車サービスが国内で広がっている
・ドコモバイクシェアは地域ごとにシステムを提供し、地域活性化を目指す
・オーシャンブルースマートは交通事業者とも連携し展開を進める
イベントレポート
BICYCLE CITY EXPO 2018
国内で自転車のシェアサービスが広がりつつある。既に34万人の会員を持つドコモ・バイクシェアと、1月より都内でスタートしたオーシャンブルースマートの両社は地方への拠点拡大に意欲を見せている。
2社の今後の取り組みについての記者発表が5月29日から30日に開催されたBICYCLE CITY EXPOで行われた。
地域の交通・観光に需要
シェア自転車 地方へ拠点拡大
ドコモ・バイクシェア(東京都港区)はNTTドコモの子会社でバイクシェア事業を運営している。
全国約25都市でサービスを展開。登録会員数は約34万人で、年間470万回の利用がある。
都内に5800台の自転車と490か所のポートを有しているが、「ポートの数が主要都市部に圧倒的に偏っているのが実情」(堀清敬代表)と言う。
シェアサイクルのGPS機能によるビッグデータの取得や観光客の動線分析の可能性もあるとして、地方での導入も力を入れていきたいと発表した。
▲シェアサイクルのイメージ
システム提供で地域に根差す
同社は直営以外にもシステム提供と言う形で、他のシェアサイクル運営者や民間施設に同サービスや自転車の提供をしている。
神戸の「こうべリンクル」や奥日光サイクルシェアなどで導入されているものだ。
「地域事業者へのシステムの提供に力を入れていきたい。地方都市の新しいモビリティの確立につながると思う」(堀清敬代表)。
3月24日には奈良県と組み、バイクシェアのサービスを開始。
5月23日にはハブチャリのサービス名でシェアサイクルを行う大阪のNPO法人ホームドアと提携している。
今後はNTTドコモの法人営業部との連携を活かし、地域活性に役立つ提案を絡めてアプローチしていくと言う。
交通事業者と組み利便性強調
オーシャンブルースマート(東京都板橋区)はシェアサイクルサービス「ピッパ」を展開。
1月より東京でサービスを開始している。
6月には京都、7月には宮崎にも展開を予定。
それぞれの地域特性に合わせたポート展開をしていくと言う。
東京では現在100ポートを展開。
このエリアで2018年中に1000ポートまで拡大を目指す。
シェアハウス、コインパーキング、ホテルなどと協業を強めていきたい考え。
京都では6月からダイワハウスパーキング、京阪電気鉄道と3社共同でピッパを運営する。
観光でのニーズを狙い、駅やパーキングエリアに設置する。
22か所からスタートを予定。
年内には500ポートを導入していく計画で、京野菜や着物シェアの業者などとも連携していく予定だ。
宮崎市内では7月24日より展開を予定。
バス事業の宮崎交通と組み、「駅、バス、その先のラストワンマイルに焦点を当てたポート展開」を行う。
スタートエリアは宮崎駅から半径2キロ圏内の主要なバス停留所14か所を予定。
自宅からバス停留所をシェアサイクルでつなぐことで、それぞれのメリットを強調していく。
同社は今後、シェアサイクルそのものだけでなく、アプリを通してお店情報を掲載する、目的地を提案するなどの仕組みを作っていくと言う。
▲ドコモ・バイクシェアの堀清敬代表(右)と、オーシャンブルースマートの小竹海渡代表
Topic
法整備進む シェアサイクルに追風か
評論家の片岡大造氏、自転車活用推進研究会理事長の小林成基氏、ジャーナリストの疋田智氏の三名が「シェアサイクル最前線」をテーマにパネルディスカッションを行った。
シェアサイクルを日本で広めていくには、「安心して車道を走れるようにするなど、利用者が『シェアサ イクルは便利だな』と思うような環境を国内で作っていくことが必要」と疋田氏は話した。
そのような法整備として、昨年5月の自転車活用推進法の施行が挙げられる。
策定されつつある自転車活用推進計画の今後の展望に期待を寄せた。
一時は70を超えるシェアサイクルが誕生したという中国を例に挙げ、「世界的に共有経済の流れは止まらない。いかに完璧主義の日本にあったサービスに変えていくかが鍵になる」と小林氏は締めくくった。
第441号(2018/06/10発行)24面