海外の二次流通 連載Vol.15➔アメリカ
全米50以上の都市で展開する
ドックレス式シェアバイクサービス
LimeBike(ライムバイク)
ラストワンマイル担う交通手段料金は30分1ドル、学生は50セント
どこでも乗り捨て自由なシェアバイクは、目的地までの「ラストワンマイル(最寄駅などから目的地までの最後の区間)」を担う交通手段として注目され、すでに世界900都市以上で導入されている。
2017年6月にサービスを開始したLimeBike(ライムバイク)もそうした自転車のシェアリングサービスを提供する1社だ。現在、全米で50位上の都市と18大学、それにドイツの3都市とスイスのチューリッヒでサービスを提供している(2018年5月末)。
利用の仕方は簡単だ。まずライムバイクのアプリをスマートフォンにダウンロードし、近くにある自転車を探す。自転車はすぐに見わけがつくよう 、ライム色に塗装されている。自転車にはQRコードが付いているので、それをスマホで読み込むとロックが解除される 。GPSが搭載されているので、乗り終わったら走行距離と価格が確認でき、自動的にロックがかかる仕組みだ。料金は30分ごとに1ドル、学生の割合は50セントが課金される。また、月額29.25ドル(学生は14.95ドル)を支払えば、月に100回の利用が可能になる。
自転車交通量1%のアメリカに中国のドックレス式を導入
カリフォルニア州サンマテオを本拠地とする同社を設立したのはCEOのTodySUN氏と共同創業者のBrad Bad氏だ。アメリカは自転車が交通量の1%に過ぎず、シェアバイクに関しては中国に遅れをとっていた。
彼らはそのアメリカに中国のドックレス式モデルを持ち込んだのだ。
「会社の長期的ゴールは、都市にクリーンな交通をもたらし 、スマートで健康的な暮らしを広めていくことです。自転車の事業はその手始めとして行っているのです」と述べている。
その言葉を裏付けるように、同社はこの春、電動スクーター(Lime-S)のシェアリングも開始した。
最高速度は時速24キロと普通の自転車を上回るスピードが出る。15セントが加算される仕組みだライムバイクは後発で、アメリカだけでもSpin、Motivate、Zagster、Social、Bicyclesなどの競合がいる。
中国では昨年、占有率3位のbluegogoが倒産し1位のofo、2位のMobikeが業界の覇者として君臨している。
昨年末、日本ではLINEとModikeの連携が発表された。過激な競争が展開されるシェアバイク市場で今後のライムバイクがどのような戦争を展開していくのか注目したい。
第446号(2018/08/25発行)16面