お客のために古書を選んで宅配
コロナで新たな販売手法広がる
コロナの打撃を受けて古書店の販売方法が転機を迎えている。従来の対面販売やEC販売ではない第三の選択肢として「選書宅配サービス」が注目されつつある。スタッフが客の好みや要望をヒアリングした上で古書を選んで宅配する、付加価値で勝負するものだ。実施した2つの古書店から話を聞いた。
棚の画像から好きな本の指定ができる
お客が値段を提示する利用者の8割が女性
海外小説を主力として扱う古書店ワグテイルブックストア(神奈川県横浜市)は4月から選書宅配サービスを開始し、現時点で10件ほど注文が入った。サービスの特徴はお客が金額や冊数やテーマを自由に提示でき、その範囲のなかで400冊近くあるリストを参照して店主が選ぶことだ。リストは主に小説で占めており、理由は「趣味性の高い作品のほうが利用の幅が広い」(山本貴史店長)と判断したため。ほとんどのお客は金額指定をしなかったが、あるお客からは「1万円で本をセレクトしてほしい」という要望があった。また利用者の8割が女性で、概ね30~40歳程度だった。利用者からはfacebookやツイッターなどのSNSを通じて注文を受けた。宅配の対応エリアは店舗のある横浜市内で、ペイペイでの支払いにも対応。年内までサービスを継続する予定だ。「セレクトした古書が気に入らなかった時のために余分に持っていくと喜ばれた」(同氏)
ワグテイルブックストア 山本貴史 店長
第494号(2020/8/25発行)17面