一般的にレコードとはLPレコードの事を指しますが、この「黒くて音が出る」円盤の歴史は古く、1887年(明治20年)にエミール・ベルリナーが円盤式の「グラモフォン」を発明したことから始まったようです。
グラモフォンの改良を重ねた結果「SP盤」として世界的に普及しました。SP盤は塩化ビニールが誕生する前のため、シェラックというプラスチックに似た天然由来の素材でできていました。しかし、これが非常に割れやすく、なおかつ鉄針で聞いているうちにすり減ってしまう難点がありました。再生機器も手回しの蓄音機で1曲毎にゼンマイを巻いて再生していたので非常に面倒なのです。何度かSP盤を蓄音機で聞いたことがありますが、音は非常に良いと思いました。ノイズはひどいのですが、その奥にある声や楽器の音色がクリアで温かいのです。電気で音を増幅しなくてもかなり大きい音が出て驚きました。
第514号(2021/6/25発行)7面